そして半ば強引に、近くのファミレスへと連れられた。


真綾はひとりでメニュー表を見ては、ああでもない、こうでもない、と言っている。


相変わらず元気だな、と思いながらあたしは、他人事のように煙草を咥えた。


そしてふたり分の注文を終えると、彼女は口を尖らせた。



「ホンマ最近、事務所おってもつまらんわ。」


「香織とかいるんじゃないの?」


「うち、あの子嫌いやし。」


まぁ、真綾の性格ならば、それも当然だろうけど。


香織は常に人の悪口か文句ばかりだし、あの子を好きだと言う人の方が珍しいわけだが。



「真綾、何でこんな仕事してんの?」


問うと、彼女は考えるような仕草を見せた後、あたしを見た。



「そら、一番はお金やけどね。」


と、言ってから、



「うちな、風俗おってんけど。
あそこは部屋汚いし、アゴ痛いしで、疲れるねん。」


「だからセックスのが楽だ、って?」


「まぁ、そんな感じやね。
うち、親から虐待されてたし、こんな体ならナンボでもどうぞ、って。」


笑いながら言う真綾に、驚いた。


カミングアウトにしては軽くて、そしていつも彼女は、そんな素振りを見せたことなんて一度もなかったから。



「あ、同情とかせんといてね。
そんなんされたら、うち可哀想な子みたいやし。」


人は大なり小なり、何かを抱えている。


要はそれを、自分の中でどう消化するか、ということなのかもしれない。