翌日の街は、昨日の雨の影響で、ところどころに水溜まりが残っていた。


あたしも瑠衣も、また同じ毎日に戻っていく。


お昼を過ぎた頃、行く当てもなく、結局クリスタルに足を向けてしまった。



「あら、百合ちゃんが珍しい。」


詩音さんは、そう言いながら笑っている。


ここは事務所とは名ばかりで、若い女の子の溜まり場のようになっていた。


もちろんみんなクリスタルで働いているのだけれど、あたしのように家出してきた子や、借金、とにかく訳ありな子が多いのだ。


だからこそ、居場所を求めてここにいるのかもしれないけれど。


でも、用のない時まであたしが事務所にいるのは、珍しいことだった。



「百合りん、めっちゃ久々に会うやん!」


「真綾、その呼び方やめてって言ってんじゃん。」


彼女はあたしのひとつ上で、サバサバとした性格。


ある意味ここの主みたいに、常に事務所にいる気がするが。



「あ、百合りんもババ抜きせぇへん?」


「しないっつの。」


第一印象から、馴れ馴れしいと思っていた。


別に香織みたく裏表があるわけではないので良いが、でもここに来ると必ずそんな風にして誘われるので、少し苦手。


だからこそ、あたしはみんなから浮いた存在なのかもしれないが。


真綾はつまんなそうな顔をして、トランプを放り投げた。



「やったら、一緒にお昼行こうや!」