「まぁ、折角死んで美味しく料理されてるわけだし、食ってやれよ。」


「死んだとか言うな!
想像したら気持ち悪いでしょ!」


弱い者は、誰かの血肉となる。


それはこの街の営みにも似ている気がして、弱肉強食という言葉を思い出した。


切り刻まれたあたし達は、一体誰に食べられるのか。



「てか、こんな話してたら悪酔いしそう。」


「おいおい、吐くなら俺に迷惑掛けるなよ?」


「アンタの所為でしょ!」


そう言ってから、ビールを流した。


外はすっかり雨音に支配されていて、店内にいても肌寒さを覚えてしまう。


もうすぐ冬が来るなんて、想像するだけでも気が滅入りそうだ。



「何か人増えてきたし、帰るか。」


瑠衣は言った。


互いに食事は空腹を満たすためのもので、だから必要最低限で良いらしい。


あたし達は大して食べるでもなく、ほぼビールばかり飲んで、店を後にした。


少し火照った頬を、雨粒がかすめる。


次第に風は強くなり始め、台風でも来るのではないか、と言った風だ。


店の軒先で、瑠衣は目を細めて闇空を仰いでいた。


傘を持たないあたし達。


それはまるで、弱さを覆えず生きていることと、似ていたね。