愛し合い、共に時間を紡ぐということは、一方通行な感情だけではダメなのだろう。


過去は時が解決してくれる、なんていうけれど、でも、向き合わなければ前には進めないのかもしれないね。


詩音さんは今、ひとり海外で暮らしているらしい。



「祥子といても、頭の片隅にはいっつもお前がいて。
俺にはそんな資格なんてないのにさ、いなくなって初めて後悔したんだ。」


瑠衣は言う。



「どんなに辛い時でも、お前はいっつもちゃんと俺の傍にいてくれてたのにな。」


力を抜いてみれば簡単に見えるはずの景色でさえも、あの頃のあたし達は目を背けていたね。


けれど、そんなことに気付けたことは、救いだろう。


過ごした街を後にし、違う二年を生きた中で、互いに得たものがある。



「だからもう一度百合に会えたら、ここで伝えたかったことがある。」


それは優しい笑顔だった。



「ありがとな、って。」


「うん。」


「ジュンってヤツにも、そう伝えといて。」


こくりと頷くと、瑠衣は抜けるような青い空を仰ぎ、伸びをした。



「つーか俺、お前に会えたらもう一回やり直そう、って言ってやるつもりだったけどさ。
実際はまだそんな格好良いこと言える男じゃないし。」


それにさ、と彼は言う。



「アキトのおかげじゃ意味ねぇから。」