元ホストのくせにあまりにも照れた顔で言われてしまい、あたしも思わず顔が赤くなってしまう。


だからそれを隠すように、ジュンをぺしっと叩いた。



「百年かかっても待ってる?」


「それは嫌。」


言ってること違うじゃん、とは思ったものの、あたしは敢えて何も言わなかった。


少し秋色に染まった空は雲が流れ、伸びをすると、気分が良くなる。


きっとあたしはもう、あの街の空気の中では生きられないだろう。


澄んだ風が吹き抜けて、僅かなやるせなさに胸が痛んだ。



「ごめんね、ジュン。」


「何が?」


言っておいて、言葉に詰まってしまう。


ジュンはあたしの全てを知っているし、だからこそ、何ひとつ無理強いをすることはない。


それはつまり、あたしが振り回してるだけで、色んな事を我慢してくれているのでは、と不安になるのだ。



「ほらぁ、またそういう顔する。」


ジュンは困ったように笑い、そんなあたしの頭を撫でてくれた。



「今度は何考えてるか知らねぇけど、お前が謝るべきことなんて何もないんだって。
つか、俺が勝手にやってることなんだからさ。」


その優しさに、泣けてくる。


ジュンといると、前とは別の意味で涙もろくなってしまう。



「それよりさ、帰ろうぜ、俺らの生まれ育った場所へ。」