真綾の横顔は、そよぐ風に吹かれていた。



「例え一瞬やとしても、誰かを魅了して、美しく散れる人間になりたいって、うちは思うねん。」


ふたり、柵から身を乗り出すように、ただ花火を見つめていた。


彼女が言うことは、きっと命の真理。



「長く生きることだけが素晴らしいんちゃう。
短くても、生きてる間に何を残したかが重要なんてやって。」


アキトや赤ちゃんがあたしに残したものは、何だろう。


煙草の煙を闇空に吐き出し、宙を仰いだ。


真綾は決して、あたしを励まそうだとか、慰めの言葉を言おう、なんてことはない。


ただ、それでも、いつも救われてばかり。



「悲しいことばかり見るのも、逆に楽しいことだけ見るのも簡単やねん。
けど、両方を受け入れることって、難しいねんな。」


「そうだね。」


相槌だけを返したあたしに、真綾は静かに息を吐いた。



「うち、ジローとこの街出ることに決めた。」


「そっか。」


「これからはアイツと一緒に生きて、色んな気持ちを共有したいな、って。」


その顔は見なかった。


けれどきっと、いつもの真っ直ぐな目をして言っていることだろう。


力強い言葉と、そして吹き抜けた風の柔らかさが、夏の終わりを感じさせた。