瑠衣は生半可な、その場しのぎの優しさばかりで、嫌になる。


だから結局はいつも、後悔ばかりするんだよね。


きっともう、あたし達は、一緒に生きる道を選ぶことは出来ないだろう。


すっかり外は陽が昇りきり、朝もやの世界が染められていた。



「あたし達はさ、お互いの存在を逃げ場にしてただけなんだよ。」


体を離すと、瑠衣はまるで捨てられた子供のような目であたしを見る。



「だから大切なものが消えちゃったのかもね。」


百合、と彼の口がその言葉を紡ごうとするより先に、再びバンッ、と扉が開いた。


そこに立っていたのは、荒い呼吸を整えながら泣いている彼女だ。


後ろには制止するような形のアイツまで。



「…真、綾…」


あぁ、ここは同じ病院なのか。


そう思っていると、真綾は唇を噛み締め、涙を混じらせながら、「百合りん!」とこちらへ駆け寄ってきた。



「ふざけんな、アンタ百合りんに何したんや!
この子傷つけるヤツは、誰であろうと死んでも許さへんぞ!」


キッ、と彼女は瑠衣を睨み上げる。


やめろよ、と制止しようとしたジローを振り払い、



「…百合りんはこれ以上悲しいこと背負ったらあかんねんっ…」


そう言って、真綾は瑠衣の体を揺らした。


呆然と立ち尽くしたままの彼と、何が何なのかわからないでいるあたし。


半ば無理やりに泣きじゃくる彼女を引き剥がしたジローは、ごめんね、とあたし達に言った。