「おい、やめろよ!」


ジュンは怒りに満ちた顔で、瑠衣の肩口を鷲掴んだ。



「あ?」


「百合は今、アンタの顔なんか見たくないってわかんないわけ?」


瞬間、ジュンに向き直った彼は、



「黙れよ、ホスト風情が!
てめぇこそ汚ぇ手で人の女に触ってんじゃねぇぞ!」


「じゃあシャブいじってるアンタの手は綺麗だって言えんのかよ!」


やめてよ、と思いながらも、怖くて耳を塞ぎ、制止することも忘れて震えていたあたし。


ジュンは言う。



「肝心な時にいないヤツが、自分の女だとか偉そうなこと言ってんじゃねぇぞ!
百合が何で泣いてるのかとか、アンタ考えたことあんのかよ!」


更に食い下がった彼は、



「誰の所為でこんなことになったと思ってんだよ!
もう百合のこと苦しめるなよ!」


ジュンがこんな剣幕で、冷静さを欠いたように怒っている姿なんか、初めて見た。


その想いは、痛いほどに伝わってくる。


瑠衣は、まさか、といった顔で、恐る恐るこちらへと顔を向けた。



「ごめん、瑠衣。」


震える声で、あたしは言葉を紡ぐ。



「赤ちゃん、もういないんだって。」