吐きそうだった。


けれど吐き出すことは出来なかった。


失ったものの数はもう数えられなくて、今更になって自分を責めることしか出来ない。


どうしてあたしは生きているのだろうか、と、そんなことばかりだ。



「なぁ、百合。
これで良かったんだよ、きっと。」



これで、良かった?



「確かにお前の赤ちゃんは死んじゃったけど、結果的にはこれでもう、あの男とは縁を切れるじゃん。
だからこれからは、全部忘れて生きれば良いってことなんだよ。」


全部忘れるべきだと、ジュンは言う。


そんなこと、して良いはずもないのにね。


やりきれなくて、どうしようもない涙がまた溢れた時、あたしは彼に縋るようにその服を握り締めた。


刹那、バンッ、と開いた扉。



「百合!」


そこに瑠衣がいたことに、ひどく驚いて声も出なかった。



「俺が呼んだんだ。」


ジュンは言って体を離すが、瑠衣は苦々しそうな顔で彼を一瞥し、すぐに視線を外すようにしてこちらへと歩み寄ってきた。


なのにあたしは、自然と体が強張っていく。



「百合、倒れたって?」


瑠衣があたしの髪に触れる。


その手で詩音さんにも触れたのかと思うと、恐れるように肩が上がる。


あたし達の赤ちゃんは、もういないのだから。