そうだ、アキトはいつも、あたしを見つけ出してくれていた。


瑠衣は初めからあたしを探そうともしなかったのに、この人は、どこにいても、まるで偶然を装ったように声を掛けてくれてた。


だからきっと、あたしが体を売ってたことにだって気付いていたんだ。


なのにあたしは一体、アキトの何を見ていたのだろう。



「いつも俯いてる理由が知りたかった。
どうしてそんなに悲しそうなのか、って考えてるだけで、目が離せなくなった。」


「…やめ、て…」


「なぁ、いい加減気付いてよ。」


ただ、訳もわからず涙が溢れた。


この街に来て、瑠衣の前以外で泣いたのなんて初めてなのかもしれないけれど。



「俺、もう一年も百合のこと、目だけでストーカーしてるのにさ。」


悲しそうに呟かれた台詞が、宙を舞う。


何にも見ようとはせず、何ひとつ信じなかったあたしの、これが罰なのだろうか。


いつもあたしにだけは優しくて、そして屈託なく笑ってたアキトのことを思い出すと、自己嫌悪に駆られるばかりだ。



「百合のこと、ずっと好きだった。」


こんな風にして聞きたくなかったのに。


瑠衣との何にもならない関係は目に見えていて、けれどかぶりを振ることでしか意志を示せない。


アキトの顔が見られなかった。



「…嫌だ、やめてよっ…」


甘すぎる香りが体に染みついて、何より無理やりされるのなんてもうたくさんだ。


どうして人は、力でしか他人をねじ伏せる術を知らないのだろう。


アキトの力は、想像以上に強いものだ。


痛みから顔を歪めたその刹那、バンッ、と音がして、ふたり、驚くように顔を向けた。