あたしは誰の言葉の、一体何を信じれば良いのだろう。


人の心なんて目に見えなくて、だからそれは、一緒にいることよりずっと、深い繋がりのような気がして怖い。


詩音さんだってまだ、完全に過去と決別したわけではないのだろう。


だからジローが彼女の元を去れば、あたしと瑠衣はどうなるのか、と不安に駆られる。


どうしてあたしはこんな時でも、真綾のことを一番に考えてあげられないのか。



「それより百合、何かマジで痩せてない?」


弾かれたように顔を向けた。



「てか、やつれたよね。」


そうかなぁ、と言って笑って見せたけど、でも笑顔に自信が持てなかった。


空の青さに目眩がしそうだ。



「アンタにだけは心配されたくないっての。」


口を尖らせるあたしに対し、言うと思った、とジローは呆れ半分で肩をすくめた。


あれほどあたし達は似ていると思っていたのに、なのに今はもう、そんなところを探す方が難しい。


彼は宙を仰ぐ。



「真綾もさ、あれからずっと百合のこと気にしてたし。」


ジローは言ってから、煙草を消し、立ち上がった。



「なぁ、頼んで良い?」


「何?」


「ちょっとの時間で良いから、アイツんとこにいてあげてくれない?」


俺も着替えに帰りたいし、と彼は言う。


ジローが真綾にずっと付き添っていたのだろうことを思えば、断れない。


それを了承してからあたしも煙草を消し、ふたり、別々の方へと歩き出した。