瑠衣はあたしを抱き締めるようにして眠りに堕ちた。


余程疲れているのか、その体はぴくりとも動くことはなく、やっぱり死んでいるかのようだ。


物音ひとつにも敏感に反応していた今までを思えば、今日は頬に触れても起きる気配さえないのだから。


どうしてこんな男を大切に思い過ぎてしまうのだろう。


広めとはいえワンルームだ、聞こえてくる雨音に耳を傾けながら、瑠衣の泣き出してしまいそうな寝顔をただ見つめた。


体中が痛くて、思考でさえもままならない。


だからやっぱりあたしは、この感情の名前を考えることさえ出来なかった。






あたしは瑠衣を見捨てられない。

でも瑠衣は、きっとまた同じことをする。




予感めいたもの。


だからこれは幸せなんかじゃないのに。





一緒にこの街を出よう、と言えば、今なら瑠衣は、それに応じてくれるのだろうか。


あたしを選んだわけじゃないのに。


瑠衣はただ、捨てられたからここにきただけなのに。


なのにやっぱりあたしは、この腕の中から抜け出ることが出来なかった。





月なんか見えなければ良い。

太陽だって隠れてしまえば良いんだ。



雨と、雲が、今は唯一の救い。