ふたり分の弱さが宙を舞う。


謝られたら余計に惨めになるというに、卑怯な男だ。


そしてこれ以上何も出来なかったあたしは、もっと滑稽だったのかもしれないけれど。


もうこんなの嫌だと思う反面で、縋りついて泣いている自分がいる。



「百合、俺と暮らそう?
今度はイチから、ちゃんと色んな事始めよう。」


瑠衣の声が震えていた。


全部をなかったことにするだなんて、出来るはずがないじゃない。


瑠衣はもしかしたら、これと同じ言葉を詩音さんに言ったのかもしれないというのに。



「…お前がいてくれなきゃダメなんだ…」


いっそ嫌いになりたいくらい、虫の良い台詞だった。


床に転がったままのアキトのジッポが、ただ、無言のままにそんなあたし達を嘲笑っているかのよう。


あの男も、とんだ策士なのかもしれないけれど。


瑠衣はすっかり赤くなったあたしの手を取るように指を絡め、小指の指輪にキスをする。


また涙が溢れた。


苦しくて、嗚咽が混じって、行き場をなくしてしまった感情が、雨音に沈んでいく。



「なぁ、泣くなよ。」


本当に寂しそうに、瑠衣は呟く。


けれど嫌だとは言えなかったことが、無意識なりのあたしの答えだったのかもしれないけれど。


ただ寄り添っているだけで、それは決して愛ではないのだろうけど。


でもあたし達は、愛がどんなものかもわからないから、こんな風に互いを傷つけることでしか、確認出来なかったのかもしれないね。