体中が痛くて、そして吐きそうで、乱れた格好のまま、瑠衣から顔を背けた。


これじゃただのレイプじゃないか。


なのに彼は、縋るような顔であたしの涙の伝う頬に口付けをする。



「百合、助けて。」


絞り出すように、瑠衣は言う。



「俺もう、お前しかいねぇんだよ。
頭ん中ぐちゃぐちゃで、わけわかんなくてっ…」


泣きそうな顔をして、子供染みたことを言わないでほしい。


瑠衣はもしかしたら、生きる唯一の目的だったものさえ失ってしまったのかもしれない。


あの時はあたしなんてその瞳にも映っていなかったくせに、悲しい話だ。


今更キスをされた。


互いの小指にはまだ、揃いの輝きが残されている。



「いい加減にしてよ!」


渾身の力で瑠衣の体を押し返し、反射的に馬乗りの態勢になった。


ふざけんな、馬鹿野郎、と繰り返しながらあたしは、ただ怒りをぶつけるが如く、彼を揺らし、殴り続ける。


手の平はじんじんと痺れ、けれどそれよりずっと、心が痛くて泣きじゃくった。



「…何で、なのよっ…」


崩れ落ちると、抱き締められた。


けれど瑠衣の胸の中でもずっと、力さえ入らなくなった手でその体を叩き続けた。


どうして何にも思い通りにならないのかと、そんな身勝手なことに悔しくなるばかりだ。


捨てられたからここに来ただけのくせに。


詩音さんと上手くいってれば、あたしを切り捨ててたくせに。



「ごめん、百合。」