何かの気配を感じて目を開けた時、ベッドサイドに腰を降ろし、あたしの手を握っている人の影にひどく驚いた。


その瞬間に曖昧だった意識がはっきりと引き戻される。



「…瑠、衣…」


体を起こしてそう呟けば、彼はそっとあたしの頬に触れた。


ぞくりとするほどその指先は冷たくて、でもそれと同時に怒りを思い出し、だから無意識のうちに彼の手を拒んでいた。



「やめてよ。」


詩音さんにも同じように触れたのだろうか、と思うと惨めになる。


てか、相鍵持ってるからって、勝手に入って来ないでほしい。


何より今までと同じように扱われている気がして、あたしは悔しさの中できつく唇を噛み締めた。


百合、と彼は言い掛けるが、それを遮り、



「何しにきたわけ?」


吐き捨てるようにあたしは言った。



「何よ、詩音さんが手に入らないからって、あたしの寝込みでも襲おうって魂胆?」


自嘲気味に笑ってやると、瑠衣は何も言わずに唇を噛み締める。


言い訳さえしてくれないのだから、嫌になる。



「帰ってよ!」


立ち上がったその瞬間、足元に投げていたバッグが転び、中身が散らばった。


それと同時に、ゴトッ、と鈍い金属音。



「…何、で…」