わからないわ、と彼女は言った。


つまりはそれが答えということなのかもしれない。


所詮人は、何かを支配することなんて出来ないし、結局はそれさえも、この街によって傀儡にされているということだ。



「随分自分勝手なんですね。」


あたしは背中越しに呟いた後で、失礼します、と言って事務所を出た。


携帯には一件の不在着信があり、ジュンが残したもの。


あれ以来連絡は取っていないけど、でもとてもじゃないが、こんな状態で顔を合わせることは出来なかった。


ジュンに対する気持ちは何も変わっていないからこそ、会うことが怖かったのだ。


今アイツに会えば、きっとあたしは泣き出してしまうだろうから。







本当に久しぶりに自宅に帰った時、やっと体の力を抜くことを許された気がした。


丸一日睡眠を取っていない体はもう限界も近く、心はすでに擦り切れてしまいそう。


静かに響く雨音が部屋を染める。


瑠衣は今、どこでどうしているだろう。


あたしに連絡のひとつも寄こさないということは、これで終わってしまったということなのだろうか。


あれほど一緒にいたのに。


同じものばかり共有し、必死で繋がりを見つけようとしていたふたりなのに、やっぱり脆さゆえに壊れるのは早いのか。


枕に顔をうずめると、息苦しさとやるせなさで涙が出る。


そのまま目を瞑り、あたしは意識を手放した。