気付けばふらりと地元に足を向けていた。


きっとあたしが生きていくのなんて、財布と煙草と携帯だけあれば十分な気がするが。



「驚いたよ、まさかお前が電話してくるなんて。」


目の前に座った彼は、でも焦って駆け付けてくれた様子が見て取れる。


あたしは地元なのにマックに来て、窓の外を眺めながら煙草を咥えたまま。


スーツのこの人といると、何だかまるで、援助交際っぽくて笑えるけれど。



「お兄ちゃん、ポテトでも食べる?」


素っ頓狂なことを言ってみても、虚しさは増すだけ。


帰ったついでにお兄ちゃんに連絡を入れたわけだが、でも会ったからって、やっぱり今更家族には戻れないだろうと思う。



「何かさ、最近疲れてて。
ネオンの色って目が痛くなるってゆーか、その点ここは自然が多くて悪くないなって、やっと気付いたのかも。」


「…百合、じゃあ…」


僅かに期待したかのような顔をした彼の言葉を遮り、



「もしかしたらさ、あたし逃げ帰ってくるかもだけど。
それでも一緒には暮らさないと思うよ。」


煙草の苦さとシェイクの甘さが口の中で交わって、気持ち悪くなりそうだ。


横の席には高校生のカップルがいて、間違ってもあたしと瑠衣の姿に重なることはない。


こんなもんを食べてるだけで、どうしてそんなに幸せそうに笑えるのか。


折角地元に戻ってみても、あの頃、家からほとんど出られなかったようなあたしには、どこを見ても大した思い出が蘇ることもない。


寂しい話だ。



「今日はこっちに泊まるのか?」