「俺、何かナンバーワンになっちゃったみたいでさ。」


「だから?
プレッシャー感じてる、って?」


「いや、それもだけどさ。」


言いながら、ジュンはひとつの話を持ち出した。



「俺は繰り上げ当選のナンバーワンだ、って。」


理由が何であろうと、ジュンが今まで二番手にいたことは事実だ。


だから流星がいなくなって自動的にナンバーワンになっただけの男だと思われているのだろう。



「おまけに俺、今月危ないから。」


困ったように笑いながら、彼は店の裏側を教えてくれる。


流星はジュンを嫌っていて、だから自分の客に彼の悪口を聞かせていた。


そして流星がいなくなり、あの男の客だった女たちを、他のホストは色めき立って取り込もうとしているらしい。


彼女たちがジュンにつくことはない。


話が嘘でも本当でも、散々悪口を聞かされていたホストを指名するはずがないから。


自動的にナンバーワンになっただけだと言われ、おまけに下からも狙われている状況。



「もうそろそろ俺も限界かもな。」


真綾が前に、ジュンはホストに向いていないと言っていたけれど。


彼は色を掛け、枕をしたって、客が長く自分のところにいてくれないことを誰より知っている男なのだ。


女がハマってくれる一定期間はぐっと売り上げが上がっても、嫉妬心や束縛心を向けられては、すぐに終わってしまうから。


誰より相手を想える人。


だからこそ、悔しくて堪らなくなる。



「ジュン、あといくら必要なの?」