結局あたし達は、自分のことばかり優先させ、相手に押し付けていたんだ。



「…流星も、捕まったらしい。」


重い口を開くと、真綾はひどく驚いた後で、やっぱりか、と呟いた。



「オーシャン、今日いきなり休みになったって聞いて、何かあったんやとは思ってたけど。」


ひとりが捕まったというだけでも、こんなにも多くの人を巻き込むということ。


何より自業自得なら、余計に悪い。


だから例えばふたりが執行猶予になったとしても、もう元の場所には戻れないだろう。


少なくとも香織は、大学生ではいられない。



「とりあえず、クリスタルも当分休みにするんやろ?
なら、急いでこれからのこと考えんでも、落ち着いてからにしたら?」


この街では、明日がどうなっているかなんて保障はない。


だからいつの間にかそれに馴染み過ぎて、事を急ぐようになっていたのかもしれない。


ジローが肩をすくめるので、あたしも体の力を抜いた。



「ほな、百合りん行こうや!」


「…へっ…」


「頭使ったら、カロリー消費されんねん。
やから食って補うん、当然やんか!」


つまりは食事に行こう、ということだ。


さすがに断ることも出来ず、あたしはジローを残し、黙って真綾に手を引かれた。


毎日何も変わらないこの街は、今日もネオンの色に照らされている。


そんなものも、人の群れも、サイレンの音でさえも、全ては日常として溶けていた。


例えばどこかの店が摘発されたとしても、繰り返される営みに変わりはない。


ちっぽけなだけの存在のあたし達は、ここで生きながら、一体何を残しているのだろうか。