「ふたり共、もう少し冷静になりぃや。」


呆れ顔の、真綾。


あたしとジローは驚き、互いに顔を見合わせた。


けれども彼女は腕を組んだままにため息を混じらせ、



「香織のこと聞いて来てみたら、ふたりが深刻そうな話しとるしなぁ。」


悪いけど立ち聞きさせてもろうたわ。


そう言って彼女は肩をすくめると、不貞腐れたような顔をする。



「勝手にうちのことクビにせんといてくれへん?」


真綾は言う。



「体の心配なんかされたくないし、うちはここにおりたいねん。」


「…けどっ…!」


「やから、百合りんのこと、もう解放したりぃや。」


彼女はジローに詰め寄った。


けれど、あたしのために病気の体に鞭を打たせるなんてことは出来ないよ。


でも、何も言えない。



「ジロー、いい加減にしときぃよ!
アンタが馬鹿なん知ってるけど、どうして詩音さんのこと止めてやろうとか思わへんねん!」


百合りんもやで、と真綾は言う。



「喧嘩腰で全否定はあかんやろ。
この馬鹿に腹立つんわかるけど、少しは理解してあげな。」


まるで母親に怒られた子供のように、あたしとジローは言葉もなく顔を俯かせた。


真綾はいつも、みんなが仲良くすることを望んでいたのにね。



「てか、まずは香織のことなんちゃうん?」