だからただ純粋に力になりたいのだと、ジローは言う。


こんな会話をしていても間合いを詰めることがないというのは、あたし達らしいのかもしれないが。



「昔はろくでもないことばっかやってたけどさ、あの人に拾ってもらったから今は一応、普通に暮らすことが出来てるし。」


自分のことを語るなんて、コイツらしくもない。


だから聞いていて、どんな顔をすれば良いのかさえわからなくなる。



「やめてよ、気色悪いなぁ。」


誤魔化すように笑ってやると、ジローは宙を仰いで煙を吐き出した。


いつも賑やかな事務所には、一箇所だけしかつけられていない電気と、あたし達の沈黙の帳が物悲しく降りる。



「んで?
百合、何か用があったんじゃない?」


「…あっ、えっと…」


先ほどの光景を見せられては、まず何を言えば良いのかさえわからない。


もごもごと口ごもるあたしを珍しそうな目で見た彼は、



「じゃあ俺の話、良い?」


仕事用のひどく無表情な顔。


クリスタルのこれからのことだと思うと、身が硬くなる。



「いつまで営業停止にするかはまだ決めてないけど。
でも、再開するにあたって、人数減らそうと思ってんだ。」


「……え?」


「少数精鋭、って言うべきかな。」


確かに、今までこの店は、利益を追求しすぎていた面があった。


だから今回、こんなことにアタフタとさせられるのだろうが。



「切る人間も、もう決めてる。」