瑠衣は“祥子さん”を見つけたとして、そしたらどうするのだろう。


もしもふたりの想いが重なったなら、あたしも、他の女も、全て用済みだと捨てられてしまうのだろうか。


そしたら彼は、この街の呪縛から解き放たれる日が来るのか。


ならば、一生見つからなければ良いと思った。



「ほらっ!
今流行りのデカ盛りや!」


オムライス如きで嬉しそうな真綾の顔に苦笑いを浮かべながらも、救われていることは否めない。


と、いうか、この子の前では自分がちゃんと笑えているのかさえも定かではない。


そんなあたしに気付いた彼女は、



「うち、百合りんが聞いてほしくないんやったら聞かんよ。
でもな、食べることは大事やし、そんなんやったら倒れるで?」


自分の大盛りオムライスを取り皿に分け、あたしに差し出してくれる。


どうやったら真綾に、同じだけの優しさを返せるだろう。


すっかりあたたかくなった射し込む陽射しを眺め、あたしは迷いながら口を開いた。



「ねぇ、無意味なだけの関係を繰り返したって、何にもならないよね?」


どんな答えを求めていたのか。


少し考えるような素振りを見せた真綾は、あたしを見据える。



「人と人が生きていく関係の中で、無意味なモンなんかないと思うよ。
出会ったり別れたりしても、そういうのを積み重ねて人生になるんやから。」


付き合ってはいないのだから、別れるという表現には当てはまらないのかもしれない。


それでも、彼女の言葉が沁みて、ありがと、とあたしは言った。



「例えどんな形でも、出会ったならそれは運命やから、意味がないなんてあらへんよ。」