この街では、女は男を、男は女を利用しながら、共存していた。


金と、欲望。


そんなものも、自分自身も、こんな醜い街でさえ、何もかもが嫌いだった。


誰もが埋められない孤独を抱えて生きている。


そして、それを埋める何かを探してるのかもしれない。


でも残念ながら、それが何なのかはわからないけれど。




光も影も、

そんなこの街の一部分。




必要とされたいと思う反面で、消えてなくなりたいと願っていた。


もう痛いのは嫌だと思う反面で、優しくなんてされたくなかった。


疲れていたのかもしれない。




この街にも
自分自身にも

何もかもに――







あの頃、望みもなく、生かされるように生きていた。


例えばそれは、点滴で繋がれ、心臓に拍動を刻む器械を入れられていたようなもの。


未来を求めるには、あまりにも多くのものを見過ぎていたのかもしれない。


もう、無垢ではなかった。


得たものの代わりに失った代償は、目に見えず、でもそれは、確実にあたしを蝕んでいた。


込み上げるのは嗚咽感。


それでもこの街で生きていた。