確かにする行為自体は同じなのかもしれない。


けれど、こんな時ほど売り渡されているのだと感じることはない。


普通の客は、新規でもない限りは、大抵は指名だ。


でもVIPだけは、詩音さんがあたしを選び、男に差し出すのと等しいこと。


信頼されているのだと言われれば聞こえはいいのかもしれない。


実際、VIPの相手を許されるのは、あたしか真綾くらいのものだから。


それでも、この悲しさは何だろう。



「そういう顔されると、こっちが気分悪くなるんだけど。」


吐き捨てるように言うジローを、無意識のうちに睨みつけていた。


だってそれは、あたしが先ほど言った言葉そのままなのだから。



「嫌ならイメクラにでも行けば?」


まぁ、今更無理だろうけど。


鼻で笑った台詞が投げられた時、あたしは平手を振り上げていた。


パシッ、と響いた乾いた音と、ジンジンと痛む右手。


ジローは張られた頬を押さえるでもなく言う。



「気が済んだなら、頑張ってきてね。」


眉のひとつも動かさないのか。


そんなことに心底悔しくなり、あたしは唇を噛み締めて車を降りた。


目の前にあるのは、首が痛くなるほど見上げなければならないリゾートホテル。



「5105室、宮川様だから。」


それだけ言い、彼はあたしを残して車を発進させた。


痛む右の手の平には、瑠衣と揃いの指輪があるけど、そこには何の拘束力もない。


ため息を混じらせ、ホテルの中へと足を進めた。