「お前さぁ、あんまビビらすなっつの。
いるの気付いた時、俺、二度見したから。」


「それ、あたしの台詞なんだけど。」


瑠衣が呆れたように笑うから、あたしも笑った。


元ホストだからとか、色枕だったとか、一緒にいたのがろくでもない連中だったとか、もうどうだって良いのかもしれない。



「つか、俺んちで良いだろ?」


「どうせ最初からそのつもりだったんでしょ。」


肩をすくめながらもあたしは、珍しく寒い夜に身を縮めた。



「薄着すんなっつったろ、馬鹿。」


「うっさいなぁ。」


そう言いながらもあたしが瑠衣の腕に絡まると、彼は行くぞ、と笑った。


ふたり、歩き出そうとしていた瞬間だった。



「百合!」


弾かれたように振り向いた瞬間、そこに立っていたのは息を切らしたジュンだった。



「…何、で…」


知られたくなかった、と思ってしまったあたしは、最低だったのだろうか。


彼はあたし達の姿に心底驚いた顔をしているが、それも当然なのかもしれない。


まさか先ほどまで話題の中心にいた人物の腕にあたしが絡まっているなんて、とでも言いたげな顔が見て取れる。



「つーか、煙草忘れてると思って追い掛けて来たんだけど…」


きっと全てを悟ってしまったのだろう彼は、そう、曖昧に笑う。


瑠衣はあたしとジュンを一度交互に見てから、気に食わなかったかのような顔で目を細めた。



「百合、さっさと帰ろうぜ。」