ジュンはさすがにあたしを見かねたのか、そう言った。


どうするべきなのかと押し黙ることしか出来なくて、その刹那、鳴り響いた携帯の音はあたしのもの。


まさか、と思ってそれを取り出すと、ディスプレイに表示されていたのは、今一番頭の中を占めているあの人だった。


“瑠衣”という文字が光る。



『おいこら、飲んだくれが。』


やはりバレていたということか。


口調は怒ってはいないようだけど、「何?」と聞くことしか出来ない。



『俺帰るし、お前も帰るならついでにと思って電話してやったんだよ。』


どうすんの?


そう聞かれてしまい、肩を落とした。



『まぁ、10秒だけ待ってやっから、来るなら下にいてやるわ。』


そのまま電話が切れてしまった。


まぁ、生意気な口調は今更良いとして、ここにいても仕方がない。



「ジュン、帰るから!」


「は?」


と、驚いた顔に、財布から抜いた札を押し付け、荷物を持って席を立った。



「ごめん、急用なの!」


それだけ言って、瑠衣のために急いでいるあたしは何だろう、という思考を無視した。


店から出て、階段を降りたところで、煙草を吹かしている彼の姿。


来ると思った、とでも言いたげな顔だ。