今日は香織を連れ帰ろうと思っていたのに、じゃあ飲もっか、なんて酔っ払った彼女は言い出したのだ。


そんなことに、心底舌打ちを混じらせてしまう。


座っているだけでも金を払わなければならないってのに、あたしは別に余裕がないわけじゃないが、香織はどうだかわからない。


てか、流星は彼女の懐具合をわかってんだか、どうなんだか。


いやいや、それ以前にぶっちゃけあたし、もうここから立ち去ってしまいたいのに。



「百合って、おい!」


ジュンに小突かれ、びくりと肩を上げた。


驚いたと同時に、そんな大きな声で名前を呼ばれちゃ敵わないと焦ってしまう。



「お前、さっきからボケーッとしちゃってるけど、具合でも悪ぃの?」


「…いや、そういうんじゃなくて…」


「つーか、何キョドってんだよ。」


あぁ、もう、嫌になる。


知りたくもなかったことを聞かされて、そんな程度のことで冷静じゃいられなくなってしまった自分。



「ごめん、大丈夫。」


そう言った時、奥のVIPスペースから、瑠衣を含めた彼らが出てきた。


先ほどまでは気付かなかったが、男達の風貌から、きっとオーシャンやクリスタルのバックにいる組の人間だろうと推測される。


瑠衣が繋がっているのは、そういう人たちということだ。


今日ほど香織の誘いに乗ってここに来なければ良かったと思った日はない。


シャンパンコールが響いて、でも全部どこか遠くで聞こえているかのよう。



「百合、今日もう帰ったら?」