「んで、瑠衣さんが辞めたと同時に入ったのが、アキトって言ったっけ?」


アキト?


確かに彼なら、ホストそのままな男だとは思ってたけど。



「何か弟分みたいなこと聞いたけど、そいつもナンバーワンになった後にすぐ辞めちゃったんだよな。
まぁ結局は、瑠衣さんほどじゃなかったみたいだけど。」


流星は煙草を吹かしながら、心底面倒くさそうな口調で言った。


オーシャンはこれでもホストクラブとしてはこの街で有名だし、だからこの店で半年足らずでナンバーワンになったなんて、少し信じ難かった。


けれど、瑠衣が色枕だったという点に関しては安易に想像出来るし、今だって他の女を抱いているのも知っている。


もしもそれが、ホスト時代からの客だったなら、とも思うのだ。



「超格好良いじゃん!」


香織はやっぱり目を輝かせるが、



「いや、俺の方が良いっつの。」


色枕って意味ではアンタも瑠衣も似たようなもんでしょ。


なんて、心の中で流星に突っ込んでいる場合ではないのかもしれない。


きっと瑠衣はあたしがここにいたって何も言わないかもしれないが、でもバレていないと願いたかった。



「百合、どうかしたか?」


ジュンに顔を覗き込まれ、はっとして首を振った。


とりあえず気付かれないうちに帰ろうかと思った瞬間、



「なぁ、それよりこんな話してたら喉渇くよな。」


流星はお得意の台詞でみんなに同意を求めてくる。


ボトルの上にこのタイミングで延長を狙っているのだろう、そういうところはしたたかな男だ。


けれど、その所為であたしは、帰ろうとしていた機を逃した。