「…真綾、死なないよね?」


気付けばあたしは、そんなことを口にしていた。



「死なへんし、死んでくれって言われても拒否るわ!」


それはまるで、この世界に希望があるような言葉だった。


寒空の下でも真夏の向日葵のように笑う真綾は、前を向いて生きている。



「一応手術やし、失敗する確率だってないわけちゃうけど。
それでもうちは、生きられるかもしれん望みに賭けたいねん。」


あたしは愚かなだけの存在だ。


何も見ようとはしていないし、何を受け入れているわけでもない。



「生きるってな、辛いばっかりちゃうやん?
そういうの見つけるとキリがないけど、同じだけ楽しいこともあるやんか。」


「…例えば?」


そうやなぁ、と彼女は空を仰いだ。



「美味しいご飯食べり、ちっちゃいことで笑ったり。
出会いや別れを繰り返して、色んな事学んで、ちょっとずつ成長して。」


柔らかくも真っ直ぐに、天を望むその瞳。


誰がこの子のことを汚れていると言えるだろうか。



「あたしが男なら、アンタみたいなのと付き合いたいよ。」


力なく笑うと、



「あぁ、うちレズもオッケーやで。」


「いや、それあたし嫌だから。」


真綾は声を上げて笑った。


その笑顔に、もう何度救われたのかも思い出せない。