いつか、彼女がファミレスで言っていた言葉。


きっと誰にも頼らず、自分ひとりの力で立っていたかったのだろう。



「もうちょっとで金貯まるしな、そしたらクリスタルとはさよならや。」


「…そん、な…」


「でも、百合りんは友達やで。」


確かに、あんな店にいて良い子じゃない。


太陽の下が似合ってて、笑顔が眩しい真綾が体を売ることを辞められるのは嬉しいけれど、でも反面で、いなくなってほしくないとも思った。


言葉が出ない。



「心配せんでもここの病院の先生、名医やで!」


正直、彼女の病気の心配をしていないあたしは、最低なのだろうか。


結局は自分のことばかりで、だから嫌になる。



「金貯めて、仕事辞めて、手術も成功して退院したら、自分へのご褒美で旅行すんねんけど、どこが良いと思う?」


やっぱ海外かなぁ、なんて彼女はのん気に腕を組む。


けれどもあたしは、まだ何が何なのか、頭がついていけてない。



「詩音さん、このこと知ってんの?」


「てか、あの人がここの病院教えてくれてん。」


「……え?」


「ほら、あの人うちと同じ風俗で働いてたやろ?
クリスタルに引き抜かれるの迷ってた時、こっちに良い先生おるって言われたんや。」


ちょっと、待って。


詩音さんが風俗嬢だったとか、彼女と同じところで働いてたとか、そんな話は知らない。


戸惑うあたしに気付いた真綾は、



「詩音さん、元ナンバーワンやで?」