衝撃の一方で、あまりの笑顔に現実味がなくて、戸惑うことしか出来ないのだけど。


どうしてそんな風に笑って言えるの?



「別に死んだりせぇへんし、手術すれば良いねんて。」


けどな、と真綾は言葉を切る。



「ここんとこ、傷痕残るらしいわ。」


服の上から心臓の場所を差し、彼女は困ったように言った。



「やからちょっとだけ躊躇ってるねんけど。」


女が体に傷を作るということが、どれほど辛いことかはわかるつもりだ。


生きるための、それが真綾の対価。



「…じゃあ、手術費用稼いでるってこと?」


「ま、そういうことやね。」


酒はたしなむ程度で、煙草は吸わず、食べることが幸せな真綾。


悲しい過去を持ちながら、どうしてこんな子がまだ苦しまなくてはならないのか。


生きるため、と言った言葉の意味を、今更理解した気がした。



「そんな顔せんといてよ。
自分に起きたことはどうしようもないんやし、受け入れて向き合うしかないやん?」


逃げているだけのあたしなんかとは、全然違う。



「傷痕残ったら、もう男は見向きもしてくれへんかもしれんけど。
人生それだけちゃうけど、うち若いのに勿体ないやろ?」


笑顔が痛々しかった。


笑い話にすることで、真綾は受け止めようと必死なのかもしれない。



「だから、独りで生きていく、って?」