誰にでも当たり前のように、心の中に、大切な人が存在している。
家族だったり、恋人だったり、仲間だったり、それはきっと人それぞれなのだろうけど。
でもあたしには、そんなものがない。
焦りや強迫観念に支配されていきそうで、無意識のうちに体が震え出す。
家族中から見放され、口もきいてもらえなかった、あたし。
家庭教師に体を求められ、誰も助けてはくれなかった、あたし。
暗い物置に閉じ込められ、ついには必要とさえされなくなった、あたし。
「百合?」
あぁ、泣いているんだ。
瑠衣に名前を呼ばれた時、意識の端でそんなことを思った。
空っぽな自分が嫌で、でも埋めるべきものが見つからなくて、ただ涙ばかりが溢れる。
「なぁ、どした?」
街のネオンも、瑠衣の顔も歪んで映る。
言葉もなく首を横に振ると、その胸にうずめられた。
「お前の泣くタイミング、いっつもいまいちわかんねぇけど。」
笑いながら、そんな言葉が落とされた。
けど、あたし、アンタの前でしか泣けないの。
「あんま無理すんなよな。」
“一番大切な人”のことを話す時と同じくらい、柔らかい声色。
同情にも似た生半可な優しさを向けていたのは、あたしも瑠衣もお互い様だろうか。
それでもあたしは体を売るし、ここにも通う。
あの頃、何もかもを捨てて、何故瑠衣と一緒にいてあげなかったのだろうかと、今では思うことだけど。
家族だったり、恋人だったり、仲間だったり、それはきっと人それぞれなのだろうけど。
でもあたしには、そんなものがない。
焦りや強迫観念に支配されていきそうで、無意識のうちに体が震え出す。
家族中から見放され、口もきいてもらえなかった、あたし。
家庭教師に体を求められ、誰も助けてはくれなかった、あたし。
暗い物置に閉じ込められ、ついには必要とさえされなくなった、あたし。
「百合?」
あぁ、泣いているんだ。
瑠衣に名前を呼ばれた時、意識の端でそんなことを思った。
空っぽな自分が嫌で、でも埋めるべきものが見つからなくて、ただ涙ばかりが溢れる。
「なぁ、どした?」
街のネオンも、瑠衣の顔も歪んで映る。
言葉もなく首を横に振ると、その胸にうずめられた。
「お前の泣くタイミング、いっつもいまいちわかんねぇけど。」
笑いながら、そんな言葉が落とされた。
けど、あたし、アンタの前でしか泣けないの。
「あんま無理すんなよな。」
“一番大切な人”のことを話す時と同じくらい、柔らかい声色。
同情にも似た生半可な優しさを向けていたのは、あたしも瑠衣もお互い様だろうか。
それでもあたしは体を売るし、ここにも通う。
あの頃、何もかもを捨てて、何故瑠衣と一緒にいてあげなかったのだろうかと、今では思うことだけど。


