またそうやって、この店に繋ぐのか。


給料を下げるということは、つまりは同じことをしても店の取り分が増えるということ。


おまけに後はない、と言えば、嫌が応にも気張るしかない。


つまりは安価で女を使えるという意味であり、詩音さんはどこまでしたたかなのだろうと思う。



「シンナーなんか簡単に辞められると思ってんの?」


「ホントは、別にあんなもん吸ってようが、俺らは仕事にちゃんと来てくれれば良いだけだし。」


それに、と彼は言う。



「チャンスは一度しかないって、本人が一番わかってるでしょ?」


利用していると、素直に言ってくれる方がまだマシだ。


香織を庇い立てするわけではないけれど、でも醜い街だと思う。



「あとさ、百合にだけは教えとくよ。」


ジローは宙に投げていた視線をあたしへと戻し、



「まりん、今はハルに癒されてるよ。」


ハルくんは、ジローと同じくこの店に雇われた送迎の男。


つまり、ジローとの恋に苦しむ彼女に優しくし、今度はそちらで繋ぐということだ。


ぞっとするほどどす黒い。



「どうして、それをあたしに?」


「邪魔はしないだろうけど、またこうやって裏に呼ばれるのは面倒だからね。」


だからついで、とでも言いたいらしい。


あたしに言ったところで、ただ傍観しているだけだということは、どうやらお見通しらしいけど。



「お互い、変な疑いの目は嫌でしょ。」