「百合が嬉しそうに笑ってるの見て、俺も何か安心した。」


ホストの顔ではない。


だからただ眩しくて、目を逸らしてあたしは、ありがと、と言った。


瑠衣はきっとあの街から離れたりはしないだろう。


屈託なく笑うジュンに安堵させられるのは、だからなのかもしれないけれど。



「あんな街で暮らしてたら、毒牙にかかったようなもんじゃん?
だからたまにはこういう息抜きすんのも大事っしょ。」


畳の匂いも、古い家独特の香りも、心洗われた気持ちにさせられる。



「孫が増えたようだね。」


おばあちゃんは湯呑を置き、微笑ましそうにこちらを見つめた。


きょとんとするあたしをよそに、



「ジュンと百合ちゃんが一緒になってくれたら嬉しいのにねぇ。」


「何言ってんだよ、ばあちゃん。
俺らまだまだそんな年じゃないっつの。」


その前に否定しろよ、って感じだけれど。


でもここにいたら、きっと素敵な未来を思い描くことが出来るのかもしれない。



「あ、散歩でもしようぜ!」


寒いじゃん、というあたしの文句は却下され、ジュンによって手を引かれた。


今更だけど、初めて手を繋いだ気がする。


でも、その手があまりにもあたたかくて、だから離すことが出来なかった。