香織はきっと、こんな日だし、オーシャンに行っていることだろう。


部屋の飾り付けも終わると、ビールやジュースで乾杯をした。


誰が注文したのかピザやオードブル、ケーキなんかも運ばれて来て、それらしさはあるものの、虚しさは拭えない。


瑠衣からの連絡なんてものはない。


だからこそ、帰ったってひとりっきりなのが目に見えている。


たかがキリストの誕生日前日というだけのことで、どうしてこんな気持ちにさせられるのか。



「百合りん、つまんなそうやん。」


だって楽しくないんだし、とは言えないけれど。


女ばかりが何人も集まったところで、それが何になるというのか。



「オーシャン、行かへんの?」


「イベントしてんでしょ?
こんな日までホストに会いに行くとか、寂しい女を露呈してるだけじゃんか。」


「ジュンに誘われへんかったん?」


「アイツはあたしに営業なんかしてこないし。」


と、返したのだけれど、真綾は納得していないような顔。



「でも、百合りんがこんな会に参加するとは思わへんかった。」


「誘ったヤツが言う?」


「そらそうやけど。
一緒に過ごしたい男とかおらへんのかなぁ、と思って。」


ふと、瑠衣の顔が頭に浮かび、でもそれを振り払った。


きっとアイツは今、別の女とこの夜を過ごしていることだろう。



「いないよ、そんなの。」