「後は高みの見物をするだけ。それを出切る場所を探さなきゃいけないけど」

エイジュは、試薬庫の反対の方向へ歩き出した。

研究所というよりは放送局のイメージな廊下だ。

放送局って言うのは、放送ジャックされないためだか何だかの理由で、通路が迷路のように入り組んでいるっていう。

どこをどう歩いてきたのか、分からなくなってきた。

さっきの場所から離れたのかどうかさえ分からない。

と、同じ歩調で歩いていたエイジュが、立ち止まり、浩之の歩みを制した。

二人以外の足音がして、それも止まった。

目の前に、窓の並んだ廊下が横たわってい、その曲がった先から音はした。

「この反応からして、戦闘員ね」

声をひそめもせずエイジュは言い、手を伸ばして数発、誰もいない廊下の突き当たりに向かって撃った。

廊下を、大音響が響き、余韻の中、

「手応えがあったようね」
 
エイジュは言った。