倒れた男の向こう側に、エイジュがいた。

浩之は、ゆっくりと身を起こして、座り込んだ。

頭にかかったガラスを振り払おうとして、急に、直前までに起こったことに体が反応し、

ドクドクと体中を血が駆け巡り出した。

「ゼロツーは殺ったわ。それに、この男はゼロフォー。一体、今何人こういう戦闘員が居て、何人があたし達の命をねらっているのか分からない」

浩之は、暴れる心臓を落ち着かせるため、長く深いため息をついた。

「戦闘員全部をやっつけても、そのことに気付けないんだろうね、オレ達は」

「あたしがいる限り、浩之がいる限り、組織がある限り、あたしも浩之も狙われるのよ」
 
浩之は、目を上げて、エイジュの背後のドアの向こうに月を見つけてた。