忍ぶることの よわりもぞする
式子内親王(89番)
あなたにもらった首飾り
あなたがわたしをつなぎとめるために、くれたもの
もういらない
久々にあらわになった首筋は
豊かになった鎖骨たちが
息苦しさから開放されて
自由を謳歌していた
あふれ出る、わたしらしさを見ていたら
「もう一度閉じ込めよう」なんて思えない
締めつけるほどに
弱いわたしは耐えられず
一人苦しんでいたけれど
もう、大丈夫だからとつぶやいてみる
そろそろまた、息を始めようか
【白露(しらつゆ)に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬき留めぬ 玉ぞ散りける
文屋朝康(37番)】
あの首飾りは
バラバラにちりばめられて
世界がちょっとずつ
美しくなっていったよ
だからちゃんと
役に立ったんだよ
ありがとう