「あ〜。あんた!また弁当残して!」

仕事から帰ってきた俺のまずすることはオカンに弁当をカバンから出して渡す。

帰宅の際の最初の行動だ。そして、オカンがその弁当箱のフタをあける前に、仕事着を洗濯カゴに投げ入れて、素早く風呂に浸かる。

そして、肩まで浸かる頃に聞こえる。さっきの声。

いかに素早く、風呂に浸かるか。ということが重要な訳じゃない。

いかに、オカンの小言から安全な場所に移動できるかが重要になる。

オカンが言いたいことは先に述べたように弁当の中身。

残しました。だって食べたくない物があったから。
実にシンプルな理由。

こんなにシンプルな理由をシンプルな行動で示したわけだが、納得いかないのはオカンなわけで。

「なんで残すの?」

なんて、聞いてくる。
実にシンプルな行動で示したわけですが、人間言葉で伝えないと意味がないみたい。

でもさ、俺優しいから。聞かれたらそんなこと直接言わないよ。オブラートに包んでさ言うわけよ。

「それ、落としちゃって。」

「あんた昨日もそれ言ってたけどな。」

俺は浅い人間でした。
まさかの連チャン言い訳。凡ミスを敵方に指摘されるとは。

だいたい言い訳が小学生レベルであった。と深く反省したわけです。