今となってはもう、 伝えることすらできない。 この想いが、彼に届くことはない。 もっと早く気持ちを伝えていれば、 何かが違ったかもしれない、とか。 そんなことを考えてしまう。 ――――――――でも。 不思議と、涙は出なかった。 さっきあんなに泣いたんだから、 当然かもしれない。 相楽は何も言わずに、黙って 私の話を聞いてくれた。 私が言葉に詰まると、 そっと手を握ってくれた。 「相楽…今日は本当にありがとね」 .