冷たい風が頬を撫でていく。


永い夢を見ていたような気がする。どこにも繋がらない狭間で、絶望の中で、独りーー中身は酷く朧気で。


よくは覚えていない。


……そもそも。どうして動けないんだ俺は。



『それはしょうがないかなあ。君、死のうとしてたし』


……死のうとしてた?


『うん。でも止めないけどね、どうせ死なないし』


少年の声が内側から聞こえてくる。それは淡々と見たものを伝えてくる。