あたしは、その力強い腕に抱きしめられた。 「ナギサだ……」 呟くような小さな声が頭上から聞こえた。 「夢じゃないな」 その手に更に力が篭る。 忍の馬鹿力。 「シノブ、力出しすぎ、痛いよ」 さすがのあたしも、苦しくてギブアップ。 「あ、ごめん」 あたしは、少し緩んだ手の中から、そっと上を見上げて見た。 「シノブ?」 「あ、ごめん、俺ちょっと気持ちの整理がつかなくて」 上気して顔を赤らめ、困ったように力なく笑う忍。