あれから私は前の私とは変わった。

今の私は二つの記憶を持っている。

今まで生きてきたレイラとしての記憶と、自ら命を断ったアイラとしての記憶…。

でも、別人の記憶を持っていても私は私だ。

そう、思える。

夢で見た景色、それはアイラの記憶だった。

今ならアイラの隣にいた人が誰なのかも判る。

二人は今の私と綾みたいな関係。

着かず離れずの幼なじみ。
アイラはその人に思いを告げることは無かった。

その人が病で亡くなったから。

アイラが研究所でやっていたこと、人工臓器の研究。

それがあれば彼は死ななかったかもしれない。

彼女は……。

一つの命を生み出し、彼の元に行った。