「それはレイラが装置から外される前日のことだった。」

先生はそう言うとフゥ、と深く息を吐き出し目を上げた。

「愛君の死は事故として処理されたよ。

その後、私はレイラを育てる為にココを辞めた。研究所自体も、それから少しして閉鎖されたが…。
それはただの偶然だろう。」

「ただ私にの頭には彼女の一つの言葉が残っていたんだ。

私がいなくなればあの子は唯一の存在になれる。

私がいればあの子は二人目の私になってしまう。という言葉が…。」

正直な話、混乱していないと言えば嘘になってしまう。

今まで信じていた常識がグラグラと音を立てて崩れていく。

ただ、これだけは自信を持って言える。

「先生、レラがクローンだろうが俺にとっては何も変わりませんよ。」

これは心からの真実だ。レラがクローンだろうがなんだろうがレラはレラだ。

今までと変わらないアイツがいるなら……。

「そう言ってもらえると本当に助かる。」

そう言う先生の視線は下を向いたままだ。表情も暗い。