「このサンドイッチも食べ飽きてきたからな。君にあげようか」

ナナフシは薄ら笑いを浮かべて言った。


「え。良いんですか!」


「ああ。もちろんだ」


「ありがとうございます!」


ナナフシは笑顔で、サンドイッチの入った紙袋を放り投げた。


少し横にそれていたが、僕はうまいことそれをキャッチした。


袋の中には、驚いたことに、サンドイッチの他に、美味しそうなスコーンとペストリーも入っていた。


案外、ナナフシって良い奴だったんだ。

そう思った。


僕は夢中でパンを食べた。


「山田丸君て、犬みたいだな」

ナナフシが言う。



「もぐもぐ、わんわん」

面白いと思って、僕はそう言った。


ナナフシは困ったような顔をした。

多分、引かれてしまった。