「何もらったんだよ。める」

トキオは、そう言って、めるの持っている包みを上から覗き込んだ。


「なになに?
 毎日の……
 食生活で……
 豊かな……
 バストを育てる……本??」

そして、題名を読み上げた。


「毎日の食生活で豊かなバストを育て上げる本!?」

トキオは題名を復唱した。


めるの大きな瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれる。


感動の涙……??


否。


何かがおかしい。


「どうして……??
 ひどいょ……」

めるが言う。


「こんなのいらない!!
 ひどいよ!!」

めるはそう言って、僕に包みを返してきた。


「いやいやいや。
 興味のある本でしょう?これ。
 だって、本屋さんで熱心に立ち読みしてたじゃない」

僕は言った。


「立ち読みなんてしてないよ」

めるが言う。


「15分は読んでたと思いますよう」

僕は、体をくねらせて言った。

コミカルさを演出して、親しみやすさを増す為だ。


めるは、うつむいて、しくしくと泣き出してしまった。


「ちょっと、君!
 セクハラだぞ!」

ナナフシが言う。


「せ、セクハラなんて、そんなつもりは無いですよう!」


「いくらめる君の胸が小さめだからって、ひどいじゃないか!」


「ち、小さめだなんて僕は思ってませんよう。
 ちょうど良いと思います!」


「その言い方、まさにセクハラだな」


「そんな!」


「とにかく、その本は君が持って帰りたまえ」


「せっかくプレゼントしたのに……」


「けがらわしい!」

吐き捨てるようにナナフシは言った。