そんな奴らなど これっぽっちも眼中に入ってない、 と言うように、 不意に樋佐木君は うちらのところへ歩み寄り、 無数の腕でがんじがらめになっていた うちを片手だけで引っ張り出した。 うちを逃がさないように 掴んでくる奴は誰もいなかった。 むしろ、するっ、と 呆気なく解けた。 うちを引っ張り出す時に掴んだ右手を 離すことなく、 そして、半ば強引に引っ張りながら、 うちと樋佐木君はその場を後にした。 あとに残るのは、 十数人の女子生徒の 間抜けな顔だけだった。