呪 い サ イ ト

「場所を移動しようよ。ここでその話をするのはやめて」


 私が提案すると、優里はだるそうに壁にもたれて答える。


「いいよ。鞄置いたらあの場所に来て」


 すぐに優里は歩き出し、一組の教室へと消えて行った。

 ―――”あの場所”……。
 私はそう考えて、遠い目になる。

 優里から呪いサイトのことを聞かされた場所だった。私にとっては忘れられない、秘密話の定番になっている場所だ。

 その場所がすべての始まり。
 そう思いながら三組の教室に向かう。

 中に入ると、いつも絵を描いている男子が一人だけいた。椅子に腰かけて、いつものように静かに、黙々と絵を描いていて、私には目もくれない。

 私は机に鞄を置き、教室を後にした。
 鉛筆が紙の上を滑る音だけが響いていた。