最初、優里は石神になんて酷いことを
言うんだろう、と少し頭にきたが、
私のためだったなんて。


「ありがとう!」


やはり優里は私の1番の友だ。莉音とは
全然違う。石神を追いかける幸恵を止める
どころか、一緒に追いかけた莉音。その結果
幸恵は石神に告白しようとしている……。
そんな奴のどこが友達だ。ただ、私の恋を
邪魔する鬱陶しい奴でしかない。


「じゃあね、優子。転落騒ぎのせいで
先生は来てないかもしれないけど…
一応早く戻ったほうがいいよ?」


「あ、うん、そうだね。
ありがとう。じゃ、ばいば~い」


「ばいば~い」


手をひらひらと振り合って
優里と別れ、私は自分の組の
教室へ走って戻った。


優里の予想通り、転落事故の騒ぎの
せいで先生は教室に居なかった。
この授業の担当の先生は
亜里沙の1組の担任だかららしい。
授業にやるはずだったプリントが
配られ、急遽自習になったが、
亜里沙の血に塗れた姿が頭から
離れなくて、全く集中できなかった。

・・・転落事故現場のあとは、
どうなっているんだろう。
それがとても気になった。