幸恵と莉音を呪いサイトに書き込む、
当初の目的をすっかり忘れていた。
特に幸恵の方。元々は幸恵が石神に
告白すると言い出したからだった。
それを阻止するために、
呪いサイトに書き込むつもりで……
そんなことを忘れて、
憎しみを、恨みを晴らすために
書き込もうとしていた。

・・・別に告白を阻止しなくても、
石神にその気がなければ、
何も心配がない。そう気付いた。
告白が失敗すれば、幸恵は
ただの笑い者になるだけだ。
そんな滑稽で哀れな姿を見るだけで、
憎しみと恨みは晴れる。

莉音の憎しみと恨みを晴らす方法は、
もう思いついている。
莉音の好きな人を使って、
酷い目に遭わせてやるつもりだ。
退院したら、すぐ呪いサイトに
書き込むことにしよう。


「・・・ということで、今すべきなのは……
石神に幸恵のことをどう思うか聞くこと!」


全て話すと、優里はうんうんと頷いていた。
だが突然、表情が曇った。


「石神のことなんだけどさ……ほら、あれ」


優里が目線で示した先には石神がいた。
そして―――余計なものまでついている。
亜里沙だ。紺屋 亜里沙。
亜里沙が石神と一緒に居ているのを、
久しぶりに見かけたような気がする。